祇園町南側地区町式目

町式目の策定にあたって

 当祇園町南側地区にては、かつては、各戸ごとの朝の「かど掃き」、冠婚葬祭時や災害時にての相互協力、相互扶助、それに、日常での近隣同士にての様々な互譲互助の相互共同作業などのよき風習やよき習慣がありました。
 また、往時の人々には、他人の視線で自分を磨くというところが大切にされてきました。監視などという「敵意・悪意」を感じる性質のものでなく、お互いにお互いを意識するという程度の視線です。
 文化財的価値を有するようにまでなった祇園町の「各家の表の構えの様(町並み景観)」や「祇園情緒」と呼ばれる祇園町固有の文化は、この「意識」があってこそ洗練されてきたとも言えます。各家の表の作りや構えの様(町並み景観)や情緒だけではなく、おそらく接客方法を「接客文化」にまで高められたのは、お互いにお互いを意識する関係があったればこそです。
 周りと関係なく「勝手に生きる」のではなく、自分も問りもうまくいくようにする人が他所では「大人」といわれ、祇園町では「粋な人」といわれていたのではなかったでしょうか。
 そこで、今の時代にあって、互いに少しは背筋を仲ばして、戒めあい、チェックしあい、注意しあって、かけがえのない私たちのこの町並みを守り、未来へ引き継いで行くために、かつての人々の暮らしの底に流れていた日本的な生き方の知恵を学びたいと心から思い、その中で「町式日」に出会いました。
 「町式目」の式とは、法、掟、法規、規則、法則のことであり、「目」とは、条目のことで、「式目」とは、「箇条書きされた規則」とでもいった意味であります。往時の京都市内の各町内には、町衆自らの手で目らの町内を守って行くために、町内の自治を守る原理や原則をふまえ、町内の各人が取るべき行動の規範と範囲を、各町内ごとに「町式目」として定めていました。
 そこで、私たちは、今の時代にあってこそ必要なルール、守っていかなければならないルールを見つめ直し、整問し、纏め面し、ここに改めて、現代版「町式目」を策定しようとするものです。
 このルールを定めたからといって、それだけで全てがうまくいくとは考えていませんが、大方の期待には応えるものだと考えています。祇園川における近所づきあいの晶本ルールともいうべきこの「町式日」を、今ここに、地区内の皆で考え、皆で定め、皆で一緒に実践していこうとするものであります。

祇園町南側地区町式目(祇園町南側地区規則)

 祇園町南側地区の店住者(住民)ならびに店舗(経営者および従業者)は、当地区のよき伝統・慣習、良好な住・商環境、祇園情絡を継承•発展させ、当地区の活性化を図るために、次に定める事項を遵守しなければならない。また、当地区に新規に転入しようとする者は、転入後はこれらの事項を遵守しなければならないことを予め了承しているものとする。

1. 地区の方針・全体的車項

  1. 当地区の葛らしのよき風習と、祇園町固有の伝統文化に誇りを持ち、その継承名発展に努めること。
  2. 当地区固有の町並み景観、良好な暮らしの環境、祇園俯紹の継承•発展に努めること。また、当地区にて定める景観協定、営業業柿規制協定、消防計両、その他の地区内で定める事項を遵守すること。
  3. 地区ならびに町内の共同意識を高めること。また、近所付き合いを大切にし、互いに近隣に迷惑をかけないよう心掛け、トラブルは話し合いで解決するよう努めること。
  4. 家屋の普請においては、当地屁内各戸が伝統的に継承してきた建築作法を尊重し、隣接する家屋主に事前に十分な説明と協議を行ない、住いの相隣環境の向上に努めること。
  5. 当地区の歴史と侶頼に鑑み、良好な風俗を乱さないよう心掛け、商売筋は勿論のこと、すべてに亘って不正なことを行なったり、不正の品を取り扱うことが一切ないようにすること。
  6. 当地区を訪れる人々、お客さんは勿論のこと、観光旅行の方々に対しても、暖かく、親切に接すること。

2. 名義人・店名などの届出と会員の義務

  1. 各戸は、その名義人、もしくは、店名・経営者名・店長名と電話番号(住居が別の場合はその住所・竃話番号などの連絡先も) を、書面で町内会長に届出しておくこと。なお、新規転入者は、転人時にこれらの事項を届出すること。また、各戸の名義人、もしくは、店名、経営者名などに変動のあった場合は、速やかに書面で町内会長に届出すること。なお、地区内営業規制協定による新規開業、業種変更、業者変更のある場合は、事前の屈出・協議を実施すること。
  2. 会員は、所属町内会の会費、所定の分担金を納人する義務があり、遅滞なくこれを納入するとともに、当地区ならびに町内会の全会員を対象とする会•他しについては、万障繰り合わせて積極的に参加すること。

3.火の用心と防犯

  1. 各戸の責任者とその家族細従業員は、常に火の用心に万全を期するとともに、当地区が実施する防災活動に積極的に参加し防災意識を高めること。
  2. 万—、火の用心について過ちが生じた場合、火元の発見者は、直ちに大声をあげるなどしてこれを周囲の各戸に知らせ、その遅れによる延焼の事態は絶対に避けること。
  3. 各戸は万—心の場合に備え、常に最低ー一個以上の消火用バケツならびに消火器を備え置くこと。
  4. 万一、近隣に火災が発生した際には、初期消火に積極的に協力し、大市に至らないよう、お互いに協力すること。この場合、会員は、まず消防署へ緊急通報するとともに、水を満たした消火用バケッ、消火器などを持参して火事の現場へ駆けつけ、または、近くの町内消火栓・消防ホースを使用するなどして初期消火に努めること。地区•町内の役員など、指揮者が到着した場合は、その指示に従って活動すること。重大な過失により自家より出火した場合には、鎖火次第、近隣・関係者に陳謝するとともに、近隣各戸の担害に対しては、可能な限り賠償の責を果たすよう努めること。
  5. 各戸は、防犯と活性化のために、玄関、または、その周辺に夜間の外灯(常夜灯)の点灯を必ず実施すること。留守が多い家については、自動点灯式を設囲すること。なお、間口の広い建物、側面が道路に沿接している建物で、周辺に街路灯がない場合、必要な箇所に外灯を設置し、夜間に周辺の明ろさを確保するよう配慮すること。
  6. 旅行などにより長期間留守にする場合は、その旨と緊急時の連絡方法を近隣の人に伝え、「かど掃き」(清掃、水撒き) 等も依頼しておき、外灯の点灯についても措置しておくこと。また、持ち家を空家にしている場合、非常事態に備え、建物入口の鍵を近隣の人と町内会長に預けておくこと。なお、空家の場合は、自動点灯式の外灯を必ず設世すること。
  7. 当地区内道路上での歩行中の喫煙は、通行者に危害と不快感を与え、また、煙草のポイ捨ては、防災上および美観上好ましくないので、慎むこと。なお、来訪者の行為についても注意を呼び掛けること。

4.上地家屋に係る権利の制限

  1. 当地区にて定める景観協定の徹底ならびに暴力団関係者の当地区への進出入居や当地区内での規制業種の開出店を防止するため、当地悦内の不動産の櫂利を貸与もしくは譲渡しようとする者は、予め町内会長または協議会役員にその旨報告すること。
  2. 当地区内の土地・家屋に係わる所有鯰使用などの一切の権利については、次に掲げる者に対しては、その権利を譲渡、または、貸与しないこと。暴力団関係者。暴力団関係者と疑わしき者。法律に違反する不冗な営業や公害発生の虞がある営業を企画している者。または、当地区内で規制している業種の営業を企画している者。
  3. 暴力団関係者、暴力団関係者と疑わしき者との関与は一切持たないよう特別に留意し、万一、その憂いのある場合は、即刻、その旨を町内会役員、または、地区協議会役貝に連絡すること。

5.環境の保持・衛生・清掃・道路の共用

  1. 各戸は、可能な限り、早朝、各戸前道路・側面道路について「かど掃き」(清掃・水撒き)を励行すること。営業終了後不在の店舗については、翌H、可能な限り早い時間に出勤し、「かど掃き」を実施すること。なお、終日、各戸前道路・側面道路の清潔を保つよう努めること。
  2. 各戸の「ごみ出し」については、鳥や野犬・猫などによって散乱されない対策を講じ、また、ダンボール箱などの燃えやすい物品を路上に放置しないこと。なお、廃油等は法令で定める処理を厳守し、一般の「ごみ出し」に混入させないこと。万一、混在させ、収集の際などに道路面等が汚れた場合は、混在させた者の責任で、即刻現状回復を行うこと。
  3. 広告スタンド等の広告物、または、廂品等を道路上に掲出、諌列しないこと。
  4. 違法駐車・違法駐輪は勿論のこと、迷惑駐車渤迷惑駐論をしない、させないこと。特に、家屋等の工事に際しては、近隣への十分な配慮をするとともに、工事関係者が使用する自動車については、予め駐車場を確保しておくなどの対策を行ない、荷物の積み下ろし以外での違法駐車・迷惑駐車をしない、させないこと。

6.転入・転出・葬儀の届け出・挨拶

  1. 地区内・町内への転人(新規人居、新規出店)、また、地区外•町外への転出に際しては、所属する町内の町内会長に届出・挨拶をするとともに、隣組長、近隣(向こう三軒両隣など)にも挨拶をすること。
  2. 葬儀の斎行に際しては、町内会長に届出・挨拶をするとともに、隣組長、近隣(向こう三軒両隣など)にも挨拶しておくこと。